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近年、地球温暖化の影響によって気候変動が極端になり、“何十年に一度の豪雨が”という謳い文句とともに、毎年のように土石流災害が発生している。“線状降水帯”という言葉も頻繁に耳にするようになったが、この用語が頻繁に用いられるようになったのは「平成26年8月豪雨による広島市の土砂災害」以降と思われる。広島市災害対策本部のまとめでは、土砂災害が166箇所(うち土石流107箇所)発生しており、災害における直接死は74名を数える未曽有の災禍であった。“たられば”ではあるが、砂防堰堤が整備されていれば・・・である。
徳島県での土石流災害に関しては、筆者自身が“激甚災害対策特別緊急事業”や“災害関連緊急砂防事業”に関わった、平成16年8月の台風10号襲来による県南部の豪雨災害及び同年10月の台風21号襲来による県西部の豪雨災害が記憶に新しい。
〇砂防堰堤形式の変更
従来の砂防堰堤は“不透過型”が主流であり、土石流対策のみならず、山脚を固定したり、渓床の侵食を防ぎ土砂の流出を抑制する目的で整備されてきた。しかし、近年の土石流災害の状況を調査・研究した結果、不透過で捕捉しきれない「流木」による土石流被害の拡大が指摘されており、土石流(流木)対策の砂防堰堤は“透過型”及び“部分透過型”の採用が国の指針で原則となった。
これより、透過型である“生名谷”(いくなだに)砂防堰堤を紹介する。
勝浦川の支川である生名谷は、勝浦郡勝浦町石垣に位置する土石流危険渓流である。下流域の川沿いには、約1km に渡って桜並木が続いており、春になれば家族連れやカップルなど多くの人で賑わっている。土砂災害警戒区域内には、人家が40戸、避難所に指定されている生名コミュニティーセンターや四国霊場第20番札所である鶴林寺へのアクセス道でもある県道和食勝浦線などの重要施設がある。
(事業期間:平成21年度~平成25年度)
堰堤形式:透過型(規模 堤高:H=11.5m, 堤長:H=44.3m, Co 量:V=1,700m³)
透過部の構造:鋼製スリットCBBO 型, スリット高:Hs=7.5m, スリット幅:B=13.5m
効果量:流出土砂:V=15,487m³, 流出流木:V=208m³ etc.
(建設部門 河川、砂防及び海岸・海洋)