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 最近は、時間雨量100mmの雨が珍しくなくなりました。森林は、まず、枝や葉で降雨量の約10%程度を受け止め、ゆっくりと蒸発させます。また、支えきれなくなった水は、大きな雨粒となって滴下しますが、その衝撃は、空から直接落ちるのと比べると大きく緩和されます。また、森林土壌は、ふかふかで、水がしみこみやすい状態になっています。土壌にしみこんだ水は、重力によりゆっくり流下し、地下の岩盤の割れ目を伝って川に流れ込みます。こうして、森林は、水をゆっくり流すことにより洪水を防ぎます。
 1時間に100mmの雨が降ると、1ha(100m×100m)の区域に1000tの水が集まります。そして、整備された排水能力の高い側溝は、一気に低い方に水を集めていきます。川やポンプの排水能力が十分でなければ水は低いところにあふれます。最近市街地で見られる水害は、これが原因と考えます。
 ゆっくり水を流すためには、森林をもっと整備する必要があります。そのひとつの方法が多段化です。よい森林は、上層のスギ、ヒノキ、ブナ等,中層のシデ,カエデ類、下層のアセビやシキミ等,さらに、笹や下草,山野草など、いくつもの層を構成しています。このれが、雨を何段階にも受け止める、究極の防災装置ではないかと考えています。
 九州の水害等では、悲しいことですが、スギやヒノキの流木が、被害を増大させた傾向もあると考えます。人工林も、整備を怠ると機能の大幅な低下が予測されます。
 水害は、地域ごとにある程度の予測ができます、最近の異常な集中豪雨を加味して、自分の周りの状態に目を配る必要があるかもしれません。ポイントは、水をあふれない程度にゆっくり流すことと、集めないことだと思います。

(森林部門 林業・林産)

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