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【長周期波に伴う港内振動流対策施設のご紹介】

 私たちが暮らす徳島県は、その東端を紀伊水道、太平洋に面し、徳島小松島港、富岡港、浅川港を始めとする重要な港湾施設や、私たちの日々の食卓を賑わせてくれる水産物を水揚げする漁港などが数多く建設されています。これら港湾、漁港施設は社会経済活動の基盤を形成しています。しかしながら、地震や台風来襲時には、時に甚大な被害が生じることもあります。
 ここでは、港湾施設よりは小規模な漁港施設、その一例として伊島漁港を取り上げ、台風時の風浪から港機能を発揮するインフラ施設をご紹介します。
 伊島は四国最東端の島で、徳島県阿南市の蒲生田岬東方約6kmの紀伊水道上に位置し、西方には前島と棚子島があります。温暖な気候で、島のシンボルでもある「ササユリ(5月末から6月上旬に開花し、淡いピンク色の優雅な花を咲かせ、独特の良い香りがする。)」をはじめとする希少動植物が生息し、野尾辺の湿原(水田跡地、希少昆虫の生息地で環境省の「日本重要湿地500」に選定)などもあって、貴重な野鳥も飛来するなど、生物多様性の高い豊かな自然環境が残っています。現在、伊島には65世帯、125名(2020年10月1日時点)が暮らしていますが、過疎化も進行しています。
 この伊島漁港(第4種漁港)は住民の生業を支えるとともに避難港としての役割も担っています。みなさんもご承知のように、一般的に外郭施設の配置だけでは長周期波に対応できない漁港も数多くあります。この伊島漁港においても、台風来襲時には長周期波による港内振動流(あびきと呼称)が発生し、紀伊水道を航行する外来漁船は勿論、地元漁船も本土(四国、阿南市内漁港)に避難しなければならない状況が久しく続いていました。
 そこで、このあびき対策として、①港内防波堤新設、②既存防波堤の沖出し、③船舶係留方法の改善、④防波水門の設置などの対策案が検討されましたが、伊島漁港の泊地・既存施設の配置形態や利用勝手、対策案の効果等から、④防波水門の新設が採用されることとなり、平成12(2000)年に完成しました。この防波水門はシェル構造ローラーゲートとハイブリッドピア構造によって構成されています(写真参照)。
 この防波水門によって台風時のあびきは遮断され、地元漁船や外来漁船の避難港としての役割が果たされています。周辺海域を航行する漁船の安全確保や豊で住みやすい漁村づくりに大いに貢献しています。

(建設部門 港湾及び空港)

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